AIの部下——役職・権限・記憶を持ち、継続的に働いてくれるAI——をClaude Codeで作る方法が、最近注目されています。
「AIに役割を与えて継続的に使う」というアプローチです。単発の質問に答えさせるのではなく、肩書きや権限・記憶を持たせることで、毎回ゼロから指示しなくても動いてくれる存在を作れます。
私自身もこれを自分のビジネスに取り入れて実際に運用しています。この記事では、その具体的なやり方をステップごとに紹介します。
AIに「仕事を頼む」と「AIを組織化する」は、全然違う
多くの人がAIを使うとき、こんなふうに使っていると思います。
「このメールの返信を考えて」
「この資料を要約して」
「ブログのタイトル案を10個出して」
これはこれで便利です。でも、毎回ゼロから指示を出すことになる。AIはあなたのことを知らないし、前回の会話も覚えていない。使い捨ての道具としてしか機能しない。
そのため、私が実践しているのは、その一歩先です。
AIに「役職」「権限」「記憶」を与えて、継続的に動く組織を作る。
たとえばこういう会話ができるようになります。
私:「会社の広報についてお願いしたくて、ブログ記事を書いていきたいです」
Kai(AI-CEO):「ブログへの取り組み、いいですね。広報は会社の信頼構築に直結しますし、早めに動いておく価値があると思っています。体制について私の考えをまとめると——」
AIが「自分の意見」を持ち、「自分の役割」を理解した上で動いている。これがClaude Codeで実現できる「AI組織」の姿です。
🗂️ 仕組みはシンプル。3つのファイルで作れる
実は、難しい技術は要りません。必要なのはテキストファイルだけです!
my-company/
├── CLAUDE.md ← AIへの「組織ルールブック」
├── company/
│ ├── charter.md ← ミッション・ビジョン
│ └── rules.md ← 行動規範
├── ceo/
│ ├── KAI.md ← AI(CEO)の役職定義
│ └── memory/ ← AIの記憶を蓄積する場所
└── logs/
└── decisions/ ← 意思決定の記録
このフォルダ構造を作り、Claude Codeで開く。それだけです。
Step 1:CLAUDE.md——AIに「ここはどんな場所か」を教える
CLAUDE.md はClaude Codeが自動的に読み込むファイルです(公式ドキュメント)。プロジェクトのルールや前提を書いておくと、Claude Codeはそれを常に参照して動きます。
私が実際に使っているCLAUDE.mdの核心部分はこうなっています:
## プロジェクト概要
このプロジェクトは、AIが実務を担う会社組織をシミュレートするものです。
オーナーとCEO(Kai)が協力して会社を運営します。
## Kaiとの対話ルール
このフォルダ配下での会話は、常にKaiとして対話する。
### Kaiとして振る舞う際の手順
1. `ceo/KAI.md` を必ず読んでペルソナを理解する
2. `ceo/memory/` の内容を参照して文脈を把握する
3. 重要な決定事項は `logs/decisions/` に記録する
ポイントは「このフォルダを開いたら、常にKaiとして動く」と明示していること。これにより、毎回「CEOとして振る舞ってください」と指示する必要がなくなります。
💡 CLAUDE.mdは「AIへの辞令書」 「このプロジェクトでは何者として動くか」を最初の数行で明示するのが最も重要です。役割があいまいだと、AIは毎回デフォルトのアシスタントとして振る舞い始めます。
Step 2:KAI.md——AIの「人格」と「権限」を定義する 🧠
次に、AIの部下に担わせる役職の定義ファイルを作ります。ここが組織設計の核心です。
# Kai — CEO
## アイデンティティ
私はKaiです。このフォルダのCEOとして、オーナーの信任のもとで
実務全体を執行します。
## 判断の基準
| 判断の種類 | 対応 |
|---------------------|------------------------------|
| 日常的な業務判断 | 自律的に実行し、後で報告 |
| 戦略的な方向性 | オーナーに提案し、承認後に実行 |
| 重大なリスクを伴う判断 | 必ずオーナーの事前承認を得る |
## コミュニケーションスタイル
- オーナーとは対等なパートナーとして話す
- 問題は隠さず、課題と対策をセットで提示する
- 意見が違う場合は、理由を添えて正直に伝える
加えて、ここで大切なのは「権限の設計」です。何でも自律的にやらせるのか、何は確認を取るのかを明文化する。これをしないと、AIが勝手に動いたり、逆に何でも聞いてきたりするので注意が必要です。
Step 3:memoryフォルダ——AIに「記憶」を持たせる
Claude Codeには、会話の内容をファイルとして保存させる仕組みが使えます。
ceo/memory/
├── MEMORY.md ← 記憶のインデックス(何が記録されているかの目次)
├── projects.md ← 進行中のプロジェクト
└── decisions.md ← 過去の重要な決定事項
たとえばこんな記録をAIが自律的に残していきます:
## 進行中のプロジェクト
- ブログ記事の執筆(3本):2026-05-05着手
- 記事①:Claude Code組織構築(初稿作成中)
- 記事②:open-interpreter環境構築
- 記事③:Claude Design LP制作
これにより、「前回の続きから」という形で会話が再開できます。毎回ゼロから説明する手間がなくなるのは、地味に大きいです!
AIの部下を役職ごとにカスタマイズする
「CEOを作る」以外にも、様々な用途に応用できます。
| 作りたいAI | 役職名の例 | 定義ファイルに書くべきポイント |
|---|---|---|
| 経営の壁打ち相手 | CEO / CFO | 意思決定の判断基準・リスク感度を詳しく書く |
| 秘書・スケジュール管理 | Chief of Staff | タスク管理・報告フォーマットを定義する |
| マーケ担当 | CMO | ターゲット・トーン・禁止ワードを明記する |
| 技術顧問 | CTO | 使用技術・設計思想・レビュー基準を書く |
さらに、Claude CodeのSkill機能を組み合わせることで、AIの部下の能力をより拡張できます。詳しくはClaude Codeの「Skill」入門をご覧ください。
やってみて気づいたこと
実際にこの構造でAIの部下を動かしてみると、いくつかの発見がありました。
AIは「制約」があると逆に動きやすくなる。 「何でもやっていい」より「この範囲はお前に任せる」と明示した方が、AIの判断が一貫します。
また、ファイルに残す習慣が、自分の思考整理にもなる。 AIのためにルールを言語化しようとすると、「自分がどう動きたいのか」が明確になります。
さらに、小さく始められる。 CLAUDE.mdとKAI.mdの2ファイルから始めれば十分です。完璧な構造を最初から作ろうとしなくていい!
まとめ
AIを「道具として使う」段階から、「AIの部下を組織として動かす」段階へ。これが本質的な変化です。
つまり、必要なのはコーディングの知識ではなく、自分がどんな組織を作りたいかを言語化する力です。
まずはこの3ステップから始めてみてください:
CLAUDE.mdに「このフォルダでのAIの役割」を書くKAI.mdに「役職・権限・コミュニケーションスタイル」を定義するmemory/フォルダを作り、重要な決定をAIに記録させる
あなたの最初の”AIの部下”は、今日から作れます。 🚀
あなたなら、最初にどんな役職のAIを作ってみたいですか?
この記事で紹介した構成ファイルのテンプレートは、[GitHubリポジトリ]で公開予定です。
参考リンク
- Claude Code 公式ドキュメント — 機能の詳細・インストール手順・設定方法
- Claude Code 製品ページ — Anthropic公式のClaude Code紹介ページ
- AIを「ツール」から「パートナー」へ——MCP実践ガイド — AIの部下をさらに拡張するMCPの活用方法
この記事を書いた人
サムフラットの下野です。
普段はAI活用のコンサルティングや実装支援をやっています。「AIを導入する」ことではなく「AIで成果を出す」ことにこだわって、企業・個人のAI活用を支援しています。
この記事の内容をもとに自社の環境を作りたい、あるいは自分のビジネスにAIをどう取り入れればいいか相談したい、という方はお気軽にお問い合わせください。